レヴィストロースと音楽
という本を買った。がしかし内容が難し過ぎた。
レヴィ=ストロースという響きは美しいので、同著者の『悲しき熱帯』という本も買った。がしかしこちらも内容が難しかった。
ところで語感の美しさについて菊池成孔が面白いことを書いていた。
歴代のフランス大統領(アドルフ・ティエール、パリス・ド・マクマオン、アルベール・ルブラン)らと比べて、ジャック・シラクの名前は締まらないので、フランス人は語感にデリケートである、という幻想が破壊された、けしからん、と。(もちろんこれは日本語の語感であることは菊池さんもエクスキューズとして述べている。ところでエクスキューズってなんなんだ)
レヴィストロースと音楽について書かれた、音楽記号学の権威、ジャン=ジャック・ナティエ先生(個人的には美しい語感だと思う)の本は、最初の2章はまあまあ理解出来た気もするんだが、他のところは引用されている本やら学説やら思想を一つずつ噛み砕いていかないと先に進めない。
こういう難しい有り難い書物は、その内容の1000分の1でも分かれば身になると思っている。一つ勉強したのは、シニフィアンとシニフィエということば。シニフィアンが言葉の持つ音の側面を表して(ドとかイとかCとか)、シニフィエがその意味を表す(440Hzの”あの”音)。イヌがシニフィアンで、四足歩行でワンワン鳴く生き物がシニフィエ。ただこれは音楽を学んでる人にとっては基本事項らしいので、憶えておいて損は無いはず。
音楽と絡めたところは、曲を知らなければ全く読み進められない。ラヴェルのボレロを題材にしたところは、旋律と曲の構造はなんとなく憶えているので大丈夫だったけれど、ワーグナーのリングは厳しかった。ワルキューレの騎行のテーマぐらいしか浮かばない。クラシック音楽は好きだけどオペラは未だにちょっと苦手。歌舞伎の方が楽しめるような気がする。
”レヴィストロースは、ボレロの中に平らなフーガを見たのだ。”・・・ということらしい。わからん。