ドーバーの絶壁

MUSICとLITRATURE

スーパーボウルでのレッチリのテープ演奏は名演である

2月2日のスーパーボウルのハーフショーで、レッチリが演奏した際、テープ演奏(いわゆる当てぶり)だったことが話題になっている。このことについて、同バンドのベーシストであるフリーがコメントを発表した。

 

レッチリスーパーボウルでのテープ演奏についてフリーの公開書簡の全文訳を掲載

http://ro69.jp/news/detail/96662

 

その時の動画がこちら。


Bruno Mars and The Red Hot Chili Pepper's ...

 

なんともパワフルで印象的なステージだ。アンソニーはイヤモ二をつけて歌っているが、確かにフリーやジョシュの楽器はプラグに繋がれていない。コメントの中でフリーはこう綴っている。

 

実際のパフォーマンスではジョシュ(・クリングホッファー)、チャド(・スミス)と俺は事前にレコーディングしてある音に合わせて演奏しているわけだから、シールドを繋げる必要もないし、だから、ステージでも繋げてなかったんだよ。たとえば、楽器演奏が実はあらかじめレコーディングされていたことにがっかりしたと言っているような人たちを驚かせないように、シールドを形だけでも繋げておくことはできなかったのか? もちろん、簡単にできたはずだし、そうしたらなにも問題にならなかったはずだよ。でも、俺たちは振りをして装おうのはやめようということにしたんだ。あの状況ではあれが一番リアルなやり方かなと思えたんだ。生ヴォーカル以外では、とんでもない数の人たちの前で音楽ビデオを作っているような気分だったし、それも本番一発限りのものだったんだからね。俺たちの思いは、俺たちの気概をみんなに届けたいっていうことにあったんだよ。 

 

技術的な制約と、エンターテイメント性を両天秤にかけて、彼らはあえて、「プラグを繋がない」という選択をした訳だ。これはとても潔い決断だと思う。出来ることなら生で音楽を聴かせたいし、それが本当のLIVE。だけれど、その場を成立させるために「全力で演じる」というスタンスは、さすがレッチリ、百戦錬磨のLIVEバンドだ。(彼らが日本のプロモーターから”世界最強”と謳われていたことが一時期あったことが懐かしい・・・ファンにとっては正に世界最強だけれども)

 

ところで当てぶり、口パクについて少し触れると、僕はあるPAさんから、有名アーティストの口パクをしている回線の音を聴かせてもらったことがある。その中で、走ったりして息があがってゼエゼエと言っている声、時折歌ったり、歌わなかったりしている様子が克明に残されていた。これも、舞台を成立させる仕掛けとしては致し方ないもので、実際のLIVEの音源は、会場で口パクに気付いた人は少ないんじゃないか、と思わせる素晴らしい出来だった。

 

テープ演奏が成功したかの一つの指針は、観客がどれだけ満足したかに尽きると思う。すなわち、騙されたという感情がどれだけ少ないか。そしてこれはLIVEに参加した者だけがが判断する権利を持つ。A○B48はよく「口パクだ」と叩かれているが、実際に現場に居合わせた人はどう感じているのか。口パクと知りながらも、満足していれば、それで結構な話なんじゃないか。

 

最後に、当てぶり(口パク)を成功させる大事な要素のまとめ

  • その場に居合わせた観客が満足していること
  • 観客が「当てぶりである」ということを知っていること、もしくは後日知らされたとしても「ああ、やっぱりね」程度で済まされること
  • 演奏者は、全力で演奏を「演じる」こと(フリーのように!)

 

あれ、この条件でいくと、ゴールデンボンバーが最強になってしまうけど・・・まあ、いいか。